白馬 大町 安曇野

信州・松﨑和紙〜今に残る伝統の紙漉き〜

宮本紙〜松崎和紙。生活に根ざした人々の営み

 

信州は長野県大町市に、伝統の和紙が残っています。

雪深い信州の地で、冬の間の手仕事として連綿と受け継がれてきた伝統の技で今でも手漉きされている「松﨑和紙」。

社(やしろ)地区の「松崎(まっさき)」という地区に、たった1軒のみ残っているのが、ここ「信州松崎和紙工業」です。

参考リンク:https://www.shinshu-matsusakiwashi.com/

「和紙」「紙漉き」と言うと、2014年にユネスコ無形文化遺産に日本の伝統的な「和紙 日本の手漉和紙技術」が登録されましたね。

www.nikkei.com

登録されたのは『埼玉県の細川紙』『岐阜県の本美濃紙』『島根県の石州半紙』ですが、この他にも多くの手漉和紙が、日本には残っています。

和紙 – Wikipedia

紙というものは、昔も今もとても生活に根ざしたものです。今は「ペーパーレス」なんて言葉も出てきて、紙のニーズも昔よりは限定的になったのかもしれませんが、それでも必要不可欠なものです。特に丈夫な和紙には様々な用途があります。ふすまや障子など、建具にも用いられます。なので、昔は至る所で漉かれていたのだと思います。洋紙の普及や、プラスチックなどの便利な素材に押され、今では和紙は高級品、嗜好品のような扱いになってしまいました。

大町市の和紙は、国宝「仁科神明宮」の祭事に使うために漉かれたのが始まりとも言われています。

www.sinmeigu.jp

仁科神明宮があるのは同じく社地区の「宮本」という地区。この宮本で漉かれていた「宮本紙」という紙がありました。宮本の紙は、今はもう漉く人がいないようです。




現代のニーズに合わせ進化する「松崎和紙」

 

大町市は水の豊富な街で、昔から冬の手仕事に紙漉をする家庭が多かったそうです。中でも、松崎という地区は、居谷里湿原からの水や鷹狩山からの水など、水の集まる場所です。豊富な水があったため、その技術が長く受け継がれました。

同社は昭和初期に開業。当時は多くの周辺の家庭が、和紙を漉いていました。

当時、和紙の原材料加工などを共同で行っていた「北信濃和紙共同組合」という組合があり、同社は昭和40年代にこの工場跡地に移転し法人化しました。

現代のニーズに会わせつつ伝統を生かしながら漉き続けてきました。周辺で採取できる自然の落ち葉などを漉き込んだオリジナルの風合いが魅力です。

現在では全国に流通し、和紙専門店などで販売するほか、茶筒や箱、ランプスタンドなどに加工され、現代の生活を美しく彩るアイテムとして人気が高くなっています。

工場に併設してショップもあります。工場の方へ声掛けして開けてもらわなければなりませんが、和紙そのものほか、箱や干支の置物、茶筒、折りたたみのミラーなど様々な商品があります。わが家では、海外からのお客さんがあるときなどに、ちょっとしたプレゼント用に買いにいくことがあります。とても喜ばれますよ。

 

観光で松崎和紙に触れるには…

 

大町温泉郷や穂高などのホテルなどでは内装や備品に松崎和紙を使っているところもあります。

「星野リゾート 界 アルプス」さんもそのひとつです。現在休館されているようで、2017年12月に再開業の予定と、ホームページ上にお知らせがありました。とてもきれいな公式ホームページですね。

kai-ryokan.jp

証明に松崎和紙を使っているようです。

また、一般観光客などを対象とした見学や紙すき体験なども受け入れています。ホームページを拝見したところ、個人でも大丈夫なようです。地元の小学校などでは、クラス単位で「紙すき体験」授業が行われることもあります。卒業証書を「松崎和紙」で漉く学校もあります。

リンク元:https://www.shinshu-matsusakiwashi.com/experience

「入門コース」では、色とりどりの落ち葉を好きな形に並べてはがきなどを作ることができます。旅の思いでの「自分みやげ」にぴったりですね。

信州松崎和紙工業の場所は…

松崎地区は、現在でも地区内に用水路が流れる、風情ある地区です。千国街道に沿って散歩すると北アルプスの大パノラマが美しいです。

わが家は大町市に住み始めた最初の3年間、この松崎地区に空家を借りて住んでいました。毎朝息子を連れて北アルプスを眺めながらの散歩は格別に贅沢な思い出です。



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